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夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫)
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夏草の賦 [新装版] 下 (文春文庫) のカスタマーレビュー 
それでも人生は続く
(2007-07-05)
元親は結局秀吉に降伏し、二十年かけてとった四国から土佐一国にもどされ、いまさら秀吉という主をもつことになった。その痛ましい境遇を、下巻ではあますところなく伝えています。スポーツなんかでも、「この相手にはどうしてもかなわない」という圧倒的な実力差(格の違い)を経験したことのある人は多いと思いますが、元親も秀吉に対して軍事的な面でも人物としても「格の違い」を悟り、軍事的な野心を放棄してしまったように感じます。そうした諦念の中それでも人生は続くし、それは夢をあきらめた人が(私もその一人だが)夢を振り切って生きていくせつなさとダブるものがあります。
夢破れて
(2007-06-14)
四国統一を目指した若き長曽我部元親、
秀吉に降伏した後の晩年の長曽我部元親、
まるで別人のようです。
天下を夢見て、戦い続けてきた。
大勢の部下の命を失ったのも、
すべて天下を目指すことで忘れてきた。
それが、秀吉に屈伏し、天下人として
圧倒的に巨大な存在を目の当たりにする。
自分は天下を取るに値するという、
人生を肯定してきたものが崩れてしまったのでしょう。
悲哀に満ちた晩年は、共感を覚えました。
信親を失ったときの悲しみが
夢破れた元親に追い討ちをかけます。
いっそのことあの時、秀吉と決戦していればと
何度思い返したことか。
読み応えのある一冊でした。
戦国武将のむなしくも数奇な人生
(2007-05-30)
四国の武将、長曾我部元親の人生を描いた後編。
内面的な弱さを持ちながらも四国を平定した元親は、信長の侵攻、その死、秀吉の天下統一など、戦国時代ならでは目まぐるしい環境変化に翻弄されます。地理的に中央のパワーバランスを瞬時に知ることのできなかった彼ほど激しく浮き沈みを経験した武将もまれなのではないでしょうか?
20年かかって四国をものにしながらも結局もとの土佐一国の大名に戻ってしまうむなしさ、嫡子と愛妻を相次ぎなくし生きる意欲をなくしていく元親の心模様、感情の揺れというものが
人間臭く描かれます。
個人的な印象ですが、司馬作品は戦国時代以前を描いた作品のほうがより一層、人間性(心の内面のようなもおの)をいきいきと描いているように感じます。この作品も戦国の世で数奇な人生を歩んだ武将のはかなさをいきいきと描いた佳作と評価します。
知られざる戦国の雄
(2006-06-26)
「功名が辻」を読んだ流れで土佐藩以前の高知に興味を持って読んでみました。四国統一を成し遂げたとはいえ、マイナーな扱いを受けている長曽加部元親。その人となりがよく描き出されている作品だと思います。また当時の土佐国が、日本の中でも後進地域であったことも驚かされ、「日本も広いなぁ」と妙に感心させられました。
ところで元親は天下を目指していたと語られており、土佐国に生まれていたことが彼の不運だったようなことが書かれていますが、私個人としては仮に本州に生まれていても天下を獲ることは無理だったと思います。本州には信長だけでなく、甲斐の武田や越後の上杉などがいたわけで、それらの武将と比較しても特に秀でた武将とは思えない。逆に本州に生まれていたら、早々と歴史の舞台から消えていたことでしょう。ラストはかつて四国を制覇したものとは思えない、切ない終焉が待っています。ぜひご一読を!
近代日本の素地を造った男
(2006-02-03)
四国を統一した長曾我部元親についての本です。戦国時代の日本は織田信長の出現により七分型は統一国家になったわけですが、もし元親が京都に近い東海道沿線に地所を構えていたなら信長の統一活動はもうすくし遅かったか、あるいは元親が天下統一を果たしていたかもしれない、本当にそれくらいの武勇と精神を持ち合わせていた武将であることが分かります。長曾我部家は関が原において西軍に加わり、それがために取り潰され土佐は山内家が納め、その後坂本竜馬をはじめとする幕末の志士達が台頭するわけですが、その素地は元親が考え出した一領具足という半農半武の制度です。農民でありながら戦の時には侍として戦う彼らは土佐藩ならではの郷士という階級を作り、そのエネルギーが尊王攘夷と変わり、はたまた開国、明治維新へと変わって行ったのだと思うと歴史の面白さを感じます。
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