夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫) -

夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)

夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)

司馬 遼太郎

文藝春秋

グループ:Book

ランキング:114603位

価格:¥ 540 (税込)

発売日:2005-09-02

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夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫) のカスタマーレビュー

.  (2008-05-07)
臆病だからこそ考えて考えて策を練って最善の策を採り、行動に移る時は勇猛果敢に攻めて心血を注いでほぼ四国一円を切り取った直後に土佐以外を召し上げられるという元親の無念さが伝わってくるようでした。
長宗我部びいきになってしまいます。

人生の不条理  (2008-04-23)
文庫本上下巻。司馬遼太郎は本作において長曾我部元親を家康ほか一流の戦国武将に匹敵する天才と評している。しかし巡り合わせが悪く、その点悲運の武将として描いている。
長曾我部元親の悲運は、土佐という当時の僻地に生まれ、統一に十数年を費やした点にある。その間東海・近畿地方では信長の台頭が著しく、地方の大名たちは大きく水を開けられてしまったのである。この点から司馬は、頼朝、信長、秀吉、家康ともに天下に号令するためには東海道に生まれる必要があるという法則を示している。
なお元親は、中央政権に対して鋭い感覚を持っていた。本作での記述かどうか記憶は定かでないが、司馬は地方の大名で他にこのような感覚を持っていたのは大友宗麟ぐらいであるとも述べている。
元親は、信長に接触する際の窓口として明智光秀に接近した。しかし光秀は信長との関係が決して良好ではなく、これも不運であった。もとより信長には元親の領土や命を保証するつもりはなく、信長が四国征伐のために大坂に大軍を集結しているという情報を得たときの元親の絶望についてもよく描かれている。なお、この四国征伐は信長の死をもって中止され、元親は命拾いをした。
しかし結局は秀吉の軍門に降ることとなった。秀吉は基本的に人殺しが好きではなく、元親も比較的円満な合併のような形で臣従する形となった。
ただ、そこから親会社の小役人的社員の高圧的態度に悩まされる子会社社長の悲哀を味わうことになる。九州征伐の際の戸次川の戦いでは、仙石秀久の拙劣な作戦によって嫡男信親を失うことになる。元親の助言は聞き入れられなかった。これ以後元親は、政治はもとより人生に対する意欲を失っていく。晩年はお家騒動が発生したりしている。
戦国時代の隠れた名将ともいえる人物にスポットを当てた意欲作である。

長宗我部元親と妻の物語  (2007-07-30)
長宗我部元親が,長宗我部家を相続してから,四国をほぼ統一するまでの話が,上巻です。
中央の歴史で言えば,織田信長が岐阜に進出した直後から本能寺の変の直前までの時代の話
です。

主人公は元親ですが,妻の「菜々」の視点での記述も多く,菜々と元親の会話や,
菜々の視点を使って元親を立体的に描いています。
菜々は,明智光秀の家老である斉藤利三の妹であるため,明智家の人々やその主家である織田
家の人々が自然な形で登場します。
四国の物語ではあるものの,四国に閉じた一地方の物語になってしまうのを防ぎ,
日本史の中に元親を位置づけて描くことに成功しています。

脇道にそれての講釈や蘊蓄話が多すぎることもなく,テンポ良く進んでゆきます。

都とは違うところだったのだ  (2007-07-05)
土佐の武将、長曽我部元親の物語。いずれ天下をとの思いを秘めつつ、まず順調に土佐を平定した元親。さて次は阿波取りだという段になり、主でもない信長からおまえは土佐にすっこんでろ、さもないと討つと横槍をいれられる。元親は滅び覚悟で信長への不服従を選びとる……。この上巻では、元親の妻として美濃からやってきたおきゃんな菜々(光秀の家老の娘)とのやりとりが楽しく、戦の物語の中にある種の明るさを与えているようです。都会の娘が土佐くんだりに嫁に行くことの珍しさも含めて本書は、土佐という田舎と都との間にある当時の文化や生活様式や衣食住の水準のギャップや距離感を、たびたび読者に思い起こさせます。自然、元親がよくもわるくも土臭く、また人間くさく、田舎侍とか山賊の親玉の延長のようなイメージとして立ち表れてき、それが元親への親近感を深めているように感じました。

四国の英傑・長曾我部元親の半生  (2007-05-27)
四国の戦国武将・長曾我部元親にスポットをあてた作品。
「名前は知っていても人となりまではよく知らない」という武将の一人ですが、権謀術数を尽くして他国を滅ぼしながらそのことに悩んでしまうナイーブさ、それでいて信長をも恐れず天下を目指す豪胆さがよく描かれていて、感情移入できます。
妻の菜々の性格や行動もさすがに武家の出らしく、後年同国を治めることになる山内一豊を描いた「功名が辻」と同様、戦国の世で出世するにはよい妻をもらうことが必須条件だったことがよくわかります。
個人的には、天下統一よりちょっと前の、全国に武将が群雄割拠している時期のほうが好きなので(ベストは「国盗り物語」ですが)、この本は気に入りました。

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